天才じゃないギフテッドのブログ

全然「天才」じゃないIQ140超えがギフテッドの実態について書くブログです。

ギフテッドは「顔立ち」や「顔つき」では分からない!その理由を解説

「顔立ち」が一番最初にサジェストされる

Googleで「ギフテッド」と検索すると関連ワードに「顔立ち」やがよく出てきます。みんなギフテッドに特徴的な顔立ちがあると期待しているのだと思いますが、結論から言ってしまうと実際には顔立ちからギフテッドを見分けることはできません

検索で出てくる記事には「ギフテッドは中性的な顔立ちの傾向」みたいに書いてあるじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、私が確認したところそれらの記事には科学的な論文が引用されておらず、信頼性はかなり低いと言わざるを得ません。

そこでこの記事では、顔立ちからギフテッドかどうかを見分けるのはムリであることを科学的な研究結果や論文を引用して説明していきたいと思います。

目次

 

前おき(「ギフテッド」=知的ギフテッド)

この記事でいう「ギフテッド」とは「知的領域に優れているギフテッド」のことを指しています。近年のギフテッドの定義には知的な人以外にも運動や芸術に優れている人も含めることになっていますが、この記事に興味を持つ人はほとんどがギフテッド=知的と認識していると思われるので、話を簡単にするためこのように定義しました。

また、「知的領域に優れているギフテッド=賢い、IQが高い」という前提もこの記事にはあります。近年の定義では必ずしもIQの値だけでギフテッドかどうかを判別するわけではありませんが、傾向を掴むという意味ではそれほど間違っていないと思われるためこのような前提をおいています。

 

ギフテッドを顔立ちで見分けられない理由

見分けられないと断言した根拠は、以下で紹介する論文のどれもが被験者の顔写真や動画、顔の形からその人の賢さ(IQ)を予測することはできなかったという結論になっているからです。

知的ギフテッドの心理学的な定義としては「IQ130以上」というのがもっとも一般的なものであり、もし顔立ちからギフテッドを見分けられるのであれば顔写真からIQを予測できるはずです。しかし実際に実験してみたところ予測できていなかったため、ギフテッドを顔立ちで見分けるのはムリ、という結論になります。

3つの論文の紹介

被験者の顔写真や動画からその賢さを予測する、という実験内容の論文を以下に3つ挙げます。そのうち2つは人の顔画像から賢さを予測する実験が含まれており、残り一つには人の映像から賢さを予測する実験が含まれています。

以下にこれらを順番に説明していきます。

 

①写真から賢さを予測する実験その1

論文その1:Looking Smart and Looking Good: Facial Cues to Intelligence and Their Origins

この論文には、評価対象者の画像を見てその賢さを予測する実験が含まれており、顔立ちからギフテッドを見分けるという状況にかなり近いと言えます。その結果は以下の画像に示すようにほとんど見分けられなかったという結果になっています。

青年期と老年期は傾向なし(有意差なし)の結果であり、幼年期と思春期と中年期はわずかに傾向が出ている(有意差が出ている)のですが、傾向の強さ(相関係数)が0.14, 0.18, 0.15といずれもかなり弱いため実際的にはほとんど見分けられていない状態です。

 

②写真から賢さを予測する実験その2

論文その2:Perceived Intelligence Is Associated with Measured Intelligence in Men but Not Women - PMC

これも人の顔画像から賢さを予測する実験ですが、最終的には知能と顔の形との間に関連はない、知能が高いとされる顔と低いとされる顔はおそらく文化的なステレオタイプにすぎない、という結論になっています。

Our study revealed no relation between intelligence and either attractiveness or face shape.

(中略)

However, these faces of supposed high and low intelligence probably represent nothing more than a cultural stereotype because these morphological traits do not correlate with the real intelligence of the subjects.

Perceived Intelligence Is Associated with Measured Intelligence in Men but Not Women - PMC

 

③映像から賢さを予測する実験の結果

論文その3:Convergence of Stranger Ratings of Personality and Intelligence With Self-Ratings, Partner Ratings, and Measured Intelligence

この論文には、評価対象者の映像を見て賢さを予測する実験が含まれており、顔立ちからギフテッドを見分けるという状況に一番近いのは「5. Strangers (silent film)」(見知らぬ人の音声なし映像)です。映像なので顔だけでなく身振り手振りなどが含まれているはずですが、それでも見分けることはムリ(有意差なし)という結果が出ています。

終わりに

以上、3つの論文を引用して顔立ちからギフテッドかどうかを見分けるのが実際的にはムリであることを説明しました。

もちろんこの3つ以外にも同様のテーマを扱った研究はありましたがどれも似たような結果であり、最近では顔の特徴よりも喋り方や内容も含めてギフテッドを判斷できるかどうかを調査する研究が多いようです。これはおそらく、顔立ちから見分けることはできないというのが研究者の間でも常識になりつつあるからではないでしょうか。

まあそもそも顔立ちから判斷できるならそれがギフテッドの特徴の一つとして挙げられていておかしくないわけですが、どの機関の基準を見てもそんな項目は一つも見当たらないので、現場の専門家としてもそんなものはないというのがコンセンサスなのではないでしょうか。

それでは今回はこんなところで。